昨年を振り返って

今年の正月は、北京で迎える初めての正月、そのこと自体に特別な感懐はないが、北京に来たことは昨年最も大きな出来事だったと思う。
自分をとりまく環境は大きく変わり、仕事内容も変化した。長春在住三年間のうち、後半二年は一般教養の語学として日本語を教えていたのに対し、北京に来てからは専門として日本語を教えることになった。中国でトップクラスの外国語大学で教えるのは、とてもありがたい反面、結構なプレッシャーだったが、とりあえず半年乗り切ることができた。幸い、学生からの評価もそんなに悪くはなかったらしいが、要望も出ているので、それに対応できるよう、精進したいと思う。
研究面でも環境は飛躍的に向上した。同業や隣接分野の研究者と少しは交流できるようになったし、シンポジウムや研究会も開催されているので、引っ込み思案を克服すれば以前よりずっといい環境で研究できるようになった。今年は昨年よりも少しはひきこもりを脱して、北京で研究面を充実させたいと思っている。

生活面ではたいへん便利になった。地方都市の長春と首都北京では、比べるまでもないのだが、普段のちょっとしたことにも違いがあって、助かるのと同時に、中国の広さや格差を感じた半年だった。大学の裏においしいパン屋を見つけたこと、冬でもモノが悪くない野菜が買えること、近所に喫茶店やドーナツ屋があること、ユニクロやセブンイレブンがあること(笑)、こうしたことは日本にいれば本当になんてことないことだが(ぼくは東京と大阪の生活しか知らないので、田舎に行けばまた違うのかもしれないが)、こうしたことが何の気なしに享受できるようになったのは本当に大きな変化だ。長春にいるときは、今の季節は日々の買い物をするためにスーパーに行くときも、タクシーに乗らなければならなかった――寒すぎるとか、道が凍結していてちょっとした距離を荷物を持っては歩けないとか、そういう理由から。それが今は、普通に歩いて買い物に行けるのだから、それだけでも大きな違いである。

今朝配信されていたメールマガジン『JMM』の連載記事「大陸の風-現地メディアに見る中国社会」166回(ふるまいよしこ)の冒頭に、「北京はクリスマス前後が一年で一番寒い」とあった。たしかにこのところはなかなか寒く、その記事にもあるように「ここ数日の気温は日中でも零下数℃で、夜になると零下10℃を切る日もざら」である。日本にいるときは、そんな気温は想像するだけでブルっと震えそうだったが、長春の冬で鍛えられた身には、ちゃんと暖かい服さえ着ていれば別にどうってこともない。気がつけば、その面ではしっかり東北人(dongbeiren)になったらしい。
同じ記事の中には、次のようなところもあった。

「ここ数日、街に出ると、元旦ではなく旧正月に新年の到来を祝うはずの中国人たちの人通りが減っているような気がする。街を走る車より住宅地の路肩に止まっている車の数が目立つのも、なんとなく休日のようだ。クリスマスが中国でも日本のように宗教とは関係なくバカ騒ぎする口実になりつつある昨今、もしかしたら少しずつ都会の中国人の間でも年末気分が浸透してきたのかもしれない」

ぼくは、北京でも長春でも年末だからといってとりたてて変化はないのだな、日本の年末とはやっぱり違っているのだな、と思っていたので、そういわれれば普段より少し人通りが少なかったかも、と思いなおした。というより、このところ寒いので、あまり外に出ないのかな、と思っていたのだった。
また、ふるまい氏は「北京で暮らす外国人たち(含む日本人)はクリスマス、そして新年の休暇を利用して帰国したり、旅行に出たりする」と書いているが、大学は新年早々試験があるので、ぼくの住む外国人教師用宿舎はいつもと同じように人がいる。昨晩は階上の部屋でパーティをやっていたようだ。またロビーでも新年を迎えるパーティが催されていたらしい。カウントダウンも聞こえてきた。ちょうどぼくと妻はそのころ、DVDを観ていた。今年の年明けは『ゴッドファーザー』(笑)を観ながら迎えたのだった。

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本のことなど

最近読んでいる本は、再読のものや、読んでいなかったオーソドックスな本が多い。今読んでいるのは山口定著『ファシズム』(岩波現代文庫、2006年)で、これは大学4年のときに卒業論文のため旧版で読んだ。もうかなり前のことで、そのころよくわからなかったことや読み飛ばしたところもあるし、第一覚えていないことが多すぎる。再読が多くなっている一番の理由は、何も覚えていないからで、読書に費やしたあの時間はいったい何だったのだろうと、忸怩たる思いにとらわれる。昨日読んだのは村瀬興雄著『ナチズム―ドイツ保守主義の一系譜』(中公新書、1968年)で、これは恥ずかしながら未読だったもの。なぜ今まで読まなかったのかわからないが、たぶん一番の原因は読みたいと思っているときに、古書店で安く見つけられなかったからだと思う。新書なのに。貧乏はしたくないものだ……。

mixi内の読書管理ソフトであるソーシャルライブラリーを使い始めて、いろんなところに書き付けていた新刊書や未読書の書誌情報をある程度まとめられるようになってきた。なんせ年二回の日本帰国時にそうした本のチェックや購入、図書館での借り出しを行わなきゃいけないので、情報はまとめておかねば困る。
北京に来たことによって、北京日本学研究センターの図書館を利用できるようになり、読書環境は飛躍的に向上した(といってもまだ一回しか行っていないので、恒常的に利用できるようにしなければならないのだけど)。センターの蔵書はオーソドックスな選書がなされているようで、資料的なものも多い。反面、くだけたものや風化しやすいもの、特殊なものはあまりないだろうから、その手のものは帰国時に読んだり買ったりしなければならない。その意味でも日頃からネットでの本のチェックは欠かせないのだ。

ソーシャルライブラリーで友人が登録しているものに、小川和也著『牧民の思想―大名たちの治政観』(平凡社選書、2008年)というのがあって、ぼくも興味を持ったのだけど、著者名で調べたら、『鞍馬天狗とは何者か―大佛次郎の戦中と戦後』(藤原書店、2006年)を書いた人だった。この本は前に手に取ったことはあって、そのうち読んでもいいかなと思っていた。つい最近も講談社現代新書で『大佛次郎の「大東亜戦争」』というのを出したようだ。CiNiiで調べたら、「書物・出版と社会変容」研究会の人のようであり、ちょっと気になる。
大佛次郎といえば、最近何かのサイトで見てちょっと驚いたというか、面白かったことがあって、大佛はビートルズの来日コンサートを見ているのだそうだ。三島由紀夫が見に行ったと聞いても、いかにも行きそうなイメージだけど、大佛次郎がビートルズを見に行くというのはイメージになかったので意表を突かれた。これはさきほど調べたら、結構知られていることらしい。文庫になっているビートルズ関係の本(少なくとも二冊)に、大佛が朝日新聞に書いた記事が載っているようだ。

上記の小川和也著『牧民の思想』などの情報を得ようと、平凡社のサイトを見てみた。図書目録のページで、「平凡社選書」を検索してみる。出てくるタイトルなどを見て、さすが面白そうなものを出しているなと思ったのは一瞬。最近刊行が非常に少ないのは前から知っていたが、サイトに掲載されているものの多くが品切れと表示されている。鹿島徹『埴谷雄高と存在論』も、奥武則『大衆新聞と国民国家』も、李順愛『二世の起源と「戦後思想」』も品切れなの? みんなそこそこ話題になった本だけど、厳しいなあ。前田勉著『兵学と朱子学・蘭学・国学』とか、若尾政希著『「太平記読み」の時代』とか、伊藤徹著『柳宗悦―手としての人間』(品切れ)とかは、そのうち買っておかなきゃダメかもしれん。
というか、大丈夫なのか平凡社。

一昨日、毎日新聞のサイトで「東アジア出版人会議:「100冊」を選定、翻訳出版へ」という記事を発見。貼り付けて保存しておく。
日本側が選定した26冊はだいたい読んでいたので、ちょっとほっとしたが、それこそいかにも一昔前の平凡社選書っぽいセレクトだなあ。呼びかけ人だという龍澤武が中心になって選定した印象がある。

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東アジア出版人会議:「100冊」を選定、翻訳出版へ

毎日新聞 2009年11月19日 13時06分(最終更新 11月19日 13時36分)
http://mainichi.jp/enta/art/news/20091119k0000e040068000c.html

 東アジアに読書共同体を作ろうという民間の国際プロジェクトが動き出した。編集者らが組織する「東アジア出版人会議」(金彦鍋会長)が韓国・全州市での大会で発表した「東アジアの100冊」がその第一歩。日本、中国、韓国、台湾、香港の五つの国・地域の編集者らが人文書を選び、来春にはそれぞれの国・地域で解説書を出版、その先の翻訳へとつなげる。大会の模様をリポートする。【佐藤由紀】

 大会会場の国立全北大学会議場。廊下に並ぶ100冊を参加者らが代わる代わる手に取っていた。韓国語版がある『自動車の社会的費用』(宇沢弘文・岩波新書)や日本語訳が出版されている『中国歴史概要』(一橋書店)など一部を除いて、大半は自国以外で未翻訳。歴史、芸術、文学、政治、経済、社会と多彩だ。
 「丸山真男はじめ日本書の翻訳は出ているが、いずれも中国の立場で選んでいる。今回の26点は日本の編集者が私たちに『ぜひ読んでほしい』と勧める客観的なリスト。概要を読むだけで今からわくわくする」
 中国の出版社・三聯書店の若手編集者、舒※(火へんに偉のつくり)さん(39)が語る。
 中国では四川省に拠点を持つ出版社が名乗りを上げ、来年にも10点を翻訳、10年後には「東アジアの100冊」を図書館に備えたいとの目標を掲げている。主な読者層として大学生など30代以下の青年層を想定している。「上の世代と違い若者たちは戦争や対日関係などについて柔軟な考え方をもっている。日本や韓国へ旅行したり留学する人も増えた。今回の翻訳出版が幅広い日本人著者への関心に結びつくのではないか」(舒さん)
 同会議の呼びかけ人の一人で平凡社の元編集局長の龍澤武さんによると、それぞれの国・地域の編集者らが、自らの文化、歴史、思想、社会などにかかわる問題を深く掘り下げた「現代の古典」を選択したという。「東アジアには書物交流の長い歴史があるが、近代化以降は欧米の人文書の翻訳が圧倒的に多い。100冊は東アジアの読者に日本の名著を紹介するだけでなく、日本の読者の刺激にもなってほしい」と期待する。
 大会では、翻訳者確保の難しさ、著作権条件のクリア、商業的に成り立つか、といった問題点が数多く指摘され、実際の翻訳出版には長い時間がかかりそうだ。その一方で「新訳出版に合わせて著者や編集者を招いてセミナーを」(韓国)、「科学書の共同出版も」(日本)、「次は文学の100冊」(台湾)など、未来志向の提案も議論された。映画や音楽など、東アジアでは若者を中心に文化交流が盛んだが、書物交流はまだまだパイプが細い。100冊プロジェクトが新たな出版の地平を切り開くかもしれない。

 【ことば】東アジア出版人会議

 東アジアでの書物交流をめざす編集者らの組織。龍澤武(元平凡社編集局長)、加藤敬事(元みすず書房社長)、大塚信一(元岩波書店社長)の3氏が、中国、韓国、台湾、香港の出版人に呼びかけて結成。05年秋の東京大会を皮切りに年2回の大会を開催。10月末に開いた第9回全州大会にはみすず書房、筑摩書房の編集者も参加した。


東アジアの100冊:全リスト

毎日新聞 2009年11月19日 13時06分(最終更新 11月19日 17時20分)
http://mainichi.jp/enta/art/news/20091119k0000e040069000c.html

<日本>=全26点

●南北朝の動乱(佐藤進一著・中公文庫)
●講義録(丸山真男著・東大出版会)
●共同幻想論(吉本隆明著・河出書房新社)
●苦海浄土(石牟礼道子著・講談社)
●日本の古代国家(石母田正著・岩波書店)
●都市政策を考える(松下圭一著・岩波新書)
●世界の共同主観的存在構造(廣松渉著・講談社学術文庫)
●自動車の社会的費用(宇沢弘文著・岩波新書)
●文化と両義性(山口昌男著・岩波現代文庫)
●影の現象学(河合隼雄著・講談社学術文庫)
●狩猟と遊牧の世界(梅棹忠夫著・講談社学術文庫)
●無縁・公界・楽(網野善彦著・平凡社ライブラリー)
●古典の影(西郷信綱著・平凡社ライブラリー)
●万葉集抜書(佐竹昭広著・岩波現代文庫)
●戦時期日本の精神史(鶴見俊輔著・岩波現代文庫)
●精神史的考察(藤田省三著・平凡社ライブラリー)
●都市空間のなかの文学(前田愛著・筑摩学芸文庫)
●分裂病と人類(中井久夫著・東大出版会)
●意識と本質 精神的東洋を求めて(井筒俊彦著・岩波書店)
●字統(白川静著・平凡社)
●全体を見る眼と歴史家たち(二宮宏之著・平凡社ライブラリー)
●天皇の肖像(多木浩二著・岩波書店)
●自然の慈悲(伊谷純一郎著・平凡社)
●天皇の逝く国で(ノーマ・フィールド著・みすず書房)
●小さなものの諸形態 精神史覚え書(市村弘正著・筑摩書房)
●精神史(林達夫著・平凡社ライブラリー)

<中国>=全26点

●詩論(朱光潜著)
●中国建築史(梁思成著)
●中国法律と中国社会(瞿同祖著)
●中国哲学略史(馮友蘭著)
●中国文化要義(梁漱溟著)
●原儒(熊十力著)
●漢語史稿(王力著)
●魏晋玄学論稿(湯用※著)※は「丹」に「さんづくり」(「形」の右側)
●中国歴史概要(翦伯贊編)
●中国の伝統美学(李澤厚著)
●仏教と中国伝統文化(蘇淵雷著)
●簡明な中国歴史地図集(譚其驤著)
●近代中国社会の新陳代謝(陳旭麓著)
●古代を疑う時代を脱する(李学勤著)
●村落からみた文化と権力(王銘銘著)
●明清時代の士大夫研究(趙園著)
●寒柳堂集(陳寅恪著)
●談芸録(銭鍾書著)
●郷土中国(費孝通著)
●現代中国思想の興起(汪暉著)
●儀礼のなかの美術(巫鴻著)
●兵は詐を以て立つ 「孫子」を読む(李零著)
●アヘン戦争から五四運動まで(胡縄著)
●中国文学史新著(章培恒、駱玉明著)
●中国政治経済史論 1949-1976(胡鞍鋼著)
●東亜儒学九論(陳来著)

<台湾>=全15点

●政道と治道(牟宗三著)
●中国文化の展望(殷海光著)
●中国芸術の精神(徐復観著)
●日據下における台湾の政治社会運動史(葉栄鍾著)
●中国人の性格 総合学際的検討(李亦園、楊国枢編)
●中華民族の花果零落れを説く(唐君毅著)
●歴史と思想(余英時著)
●中国哲学の精神とその発展(方東美著)
●中国の青銅器時代(張光直著)
●思想と人物(林毓生著)
●万暦十五年(黄仁宇著)
●幽暗意識と民主伝統(張※著)※はさんずいに「景」に「頁」
●現代精神と儒家伝統(杜維明著)
●台湾歴史図説(周婉窈著)
●世紀にまたがる風采と文才 現代小説二十家(王徳威著)

<香港>=全7点

●中国歴代政治の得失(銭穆著)
●自由と人権(張佛泉著)
●香港と中西文化の交流(羅香林著)
●黄土と中国農業の起源(何炳棣著)
●中国現代小説史(夏志清著)
●中国の古代服飾の研究(沈従文著)
●新・中国文明起源の探求(蘇秉※著)※は王へんに「奇」

<韓国>=全26点

●白凡逸志(金九著)
●意味から見た韓国の歴史(咸錫憲著)
●韓国医学史(金斗鐘著)
●韓国科学史(全相運著)
●韓国音楽史(張師※著)※は「員」へんに「力」
●韓国近代文芸批評史研究(金允植著)
●韓国数学史 数学の窓から見た韓国人の思想と文化(金容雲・金容局著)
●知訥の禅思想(吉熙星著)
●韓国儒学思想論(尹絲淳著)
●韓国社会史研究 農業技術の発達と社会変動(李泰鎮著)
●ガリレアのイエス イエスの民衆運動(安炳茂著)
●韓国戦争の勃発と起源(朴明林著)
●韓国の労働運動と国家(崔章集著)
●風流徒と韓国の宗教思想(柳東植著)
●揺れる分断体制(白楽晴著)
●韓国史新論(李基白著)
●古画鑑賞の楽しさ(呉柱錫著)
●時間との競争 東アジア近現代史論集(閔斗基著)
●戦争と社会 私たちに韓国戦争は何だったのか(金東椿著)
●韓国文学史の論理と体系(林※澤著)※は「螢」の「虫」部分が「火」
●韓国美術の歴史(金元龍・安輝濬著)
●運化と近代(朴熙秉著)
●韓国人の神話(金烈圭著)
●韓国文学通史(趙東一著)
●眼と精神 韓国現代美術理論(金福栄著)
●風景と心(金禹昌著)

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Mr.Lévi-Strauss! Pants or books?

クロード・レヴィ=ストロースが亡くなったというニュースが、mixiニュースにもあがっていた。あと一ヶ月で101歳になるところだったから、大往生。去年の『思想』は生誕100年特集だったし、『みすず』にも生誕100年シンポジウム云々という記事が掲載されていたので、レヴィ=ストロースが100歳というのは知っていたが、晩年になってもときどき新しい文章を発表していたから、何となくずっと生きていそうな気がしていた。

レヴィ=ストロースと同じ1908年に生まれた日本人はどんな人がいるか検索してみたら、まず目に飛び込んできたのが、杉浦茂と伴淳三郎。そうか、コロッケ五円の助と伴淳とレヴィ=ストロースは同い年なのか。よくわからないが感慨深い。ほかに強烈なキャラクターの持ち主としては、浪花千栄子、マキノ雅弘。宮本顕治、高杉一郎、松田道雄、亀井文夫といった、政治や戦争によって翻弄されたり傷を負ったり、(色んな意味で)大変な政治的人間になったりした人々が多く見られるのは、この世代らしい。かと思うと、安藤鶴夫や植草甚一のような、現実に背を向けようとしたり、スノッブたろうとした人も。
レヴィ=ストロースと同い年ということで面白いなと思ったのは、西川満。台湾に生まれ、予科・大学時代を除いて太平洋戦争が終わるまで台湾に住み、「出版社を経営したり、『文芸台湾』を創刊したほか、自らも多くの作品を発表、台湾における文芸運動をリードした」(註1)作家。西川満についてはあまり多くを知らない。この夏帰国した際、フェイ・阮・クリーマン著『大日本帝国のクレオール─〈植民地期台湾の日本語文学〉』(慶應義塾大学出版会、2007年11月)を偶々購入していて、手元にある。その第二部が西川満についてなので、この機会に(何の機会だ?)読んでおこうかな。

残念ながら、いま手元にレヴィ=ストロースの本はないので、『月刊みんぱく』2008年11月号(第32巻第11号、通巻第374号)の「特集 今日のレヴィ=ストロース」(註2)を読むことにした。特集といっても6ページで、6人の研究者が短いエッセイを寄せている。渡辺構造、もとい、渡辺公三「『神話論理』の「反言語論的転回」」というエッセイは、レヴィ=ストロースの五〇年代からの探求が、「二〇世紀後半の「言語論的転回」に先回りして「反言語論的転回」を達成していたといえないだろうか」と、なんだか凄そうなことを言っているが、なにを言いたいかといえば、「ヒトの思考がどう成り立つかは、言語が世界をどう切り取るかという分析の問いではない。答えは言語の手前あるいは向こうの、五感を通じて知覚された世界の豊かさを語る神話から聴き取られる」ということのようで、この文のあとに茂木健一郎の本からの一節が引かれている……。『思想』にもほぼ同じタイトルの論文を載せているが、まだ読んでいない。というか読む気が失せてしまった。
こんな与太より、川田順造の「こぼれ話、レヴィ=ストロース先生」で語られているレヴィ=ストロースのアメリカでのエピソードのほうが楽しい。

アメリカの大学の食堂でのこと。満席のため、案内を待っているとき、「Mr.Lévi-Strauss! Pants or books? と大声で呼ばれて、まわりの人たちもどっと笑った」

(註1)「西川満という人」『ものろぎあ・そりてえる』http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-523f.html
同じブログの「西川満『わが越えし幾山河』」
http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-7290.html も参照。
(註2)国立民俗学博物館のサイトで全文読める。
http://www.minpaku.ac.jp/publication/gekkan/200811.htmlからpdfファイルをダウンロード。pdfファイルの直リンは、http://www.minpaku.ac.jp/publication/gekkan/pdf/0811-02.pdf

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初雪

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昨日の朝は妻の「雪だよー」の声に起された。本当に雪だ。しかもかなり積もっている。

数日前から、今日あたり気温が非常に下がり、最低気温が零下になるという予報を目にしていたが、まさか雪まで降るとは思わなかった。 外に出てみると、長春の雪と違って、ずいぶん水分を含んだ雪で、地面はぬかるんでいた。北京の雪がいつもこうなのかはまだわからない。

それにしても、前日に買い物をしておいてよかった。10月31日もそれなりに肌寒かったが、1日からはぐっと冷え込むというので、外に出ないでもいいように野菜やパンなどを買い込んでおいたのだ。

さすがにこの天気はちょっと異常なようで、日本にも寒波が訪れるという。3、4日すれば気温もだいぶ上がるようだ。もう少し秋~初冬の雰囲気を味わいたい。

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国慶節パレード その最中のある街の表情

こちらには久しぶりに書きます(mixiには書いていました)。北京に来て、もう40日が経過します。その間、色々なことがありましたが、追々書くか、省略するかにして、またこちらもときどき更新したいと思います。

さて、今日は10月1日、国慶節。今年は周知のように中華人民共和国建国60周年ということで、大々的なパレードが催されたり、街中もお祝いムード。

昨晩は夜遅くにNHKのBS2でベルトラン・タヴェルニエ監督の『ラウンド・ミッドナイト』を観たりしていたため、今朝はちょっと遅めに起きたのだけど、空は薄曇りといったところ。昨晩は雨が降ったが、今日は天気が持ち直したということになる。こちらの時間で午前10時に国慶パレードが始まり、そのときも少し曇っているかな、というぐらいの空模様だったが、段々といい天気になっていった。

遅めの朝食を摂りつつ、1時間ほどテレビでパレードを見たあと、近隣の街の様子はどうなんだろうと思い、外出する。大学キャンパス内は人通りもまばらである。いつも留学生楼の前にたむろしている留学生の姿がほとんど見られないのは、休みでどこかに出かけているからだろうか。

わが勤務校は、ぼくの宿舎や留学生楼などがある西キャンパスと、教学関係の建物や本科学生の寮がある東キャンパスに分かれており、その間を西三環路という環状道路が走っている。普段は交通量が大変多い道路なのだが、今日はバスといつもより少な目のタクシーが走っているぐらいで、自家用車は非常に少なかった。バスの乗客も普段よりかなり少なめのようである。両キャンパスをつなぐ地下道も人通りはほとんどなかった(写真1、2)。

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東キャンパスに入っても、人影は少ない。が一箇所だけ人がたくさん集まっているところがあった。そこではスクリーンにCCTV(中央電視台)のパレード番組を映し出しており、それを見に集まっているのである(写真3、4)。ちょうど写真3を写したときは、戦闘機のアクロバット飛行がスクリーンに映されており、観客は歓声を上げ、拍手していた。ちなみにその戦闘機は、おそらくその直前、大学上空を編隊飛行していった戦闘機だと思われる。

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スクリーンを離れると、また人通りは少なくなった。キャンパスを突っ切って、裏の門を出る。大学裏は飲食店や小さな商店、スーパーなどが立ち並んでおり、いつも大勢の人で賑わっている。が、今日は閑散としており、多くの店は開店休業状態か、店自体を閉めている(写真5)。そこに着いたのが11時半頃、12時頃までその辺りをうろうろしたので、ちょうどお昼時だったのだが、いつもはほぼ満員で入れないこともあるレストランも客が一組か二組ぐらいしかいない、という状態だった。その他の店もみんな似たり寄ったり。店員はどこでもみんな手持ち無沙汰な表情を浮かべていた。

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その後、帰りは別ルートを通ったのだけど、やはりどこも人はあまり見当たらず、通りを行き交う車も少なかった。

ぼくの勤務校は、中心部からは少し離れており、厳戒態勢というのはあまりぴんと来なかった。しかし、今日の午前中の街の雰囲気は、普段とはあまりに違ったので、少し驚いた。
一般庶民は、やっぱりテレビでパレードを見ていたのだろうか。店員などはテレビを眺めていることが多そうに見えたが。今日の夕方や夜は、街はいつものように賑わいを取り戻すのだろうか。

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一時帰国中

一時帰国して10日ほど経った。

前回の日記に「14日に北京入り、15日に荷物を確認してから帰国、というスケジュールを組み、チケットも手配したのだが、荷物確認は無理な危険性が高くなってきた」と書いた。結果的には奇跡的に(?)うまくいった。14日夕方に北京入りしたのだが、北京の送り先からメールがきて無事届いたという。さらにその後、引越しを手伝ってもらった教え子からも、運送会社と連絡してさきほど荷物が到着した、ちゃんと部屋の中まで運んだと聞いた、とメールが届いた。この目で確かめなければ本当に安心することはできないものの、一応ほっとした。

翌日15日は午前中に荷物を預かってもらっている場所に行き、荷物を確認、あわただしくそこを後にし、ホテルに戻ってチェックアウト。ドタバタしながらも、とりあえず引越しが一段落したことに安堵し、帰国の途についた。

実際には今の荷物の置き場はあくまで仮であり、8月下旬に北京に行ったら荷物を新居に運び込まねばならないので、引越しはまだ完了していないのだが。

帰国してからは、これまでの一時帰国時と同様、人と会ったり、本屋に行ったりといった生活を送っている。いまは、中国では読みにくい本を数冊同時平行して読んでいるところ。書名を挙げると反中の人間と思われそうなのでやめておく。

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北京への引越し第二段

今日は5日に引き続き、引越しの第二段。妻の勤務先の宿舎の荷物を送った。

今日は快晴。今日も以前の教え子二人が手伝いに来てくれた。うち一人は前回も手伝ってくれた。二人が来てくれたのが9時半ごろ。かんかん照りで、この時間にして既に汗が噴出すほどの気温。快晴なのは引越し日和だけれど、ちょっと暑すぎる。

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今回は荷物が多く、ダンボール箱49個、47個口。前回より小さい箱をかなり使ったので多くなったという要因もあるが、衣服など嵩張るものが多かったということもある。いずれにしてもこれだけの量の箱詰めは相当疲れた。しかも現在妻はビザ更新のため北京に行っており、一人きりの作業だったので心身ともに疲れる。

前回の荷物は「明後日に北京の送り先に届けられる予定という」と先日書いたけれども、実際は2日後になど着きやしなかった。日曜に送って、火曜に届くという話だったが、水曜になっても届かず、北京から人に電話をしてもらったら「明日届ける」という返事。が、木曜も同じことの繰り返し。金曜の夕方になって、妻と電話で「今日も無理なのか……」と話しているところに配達に来た。しかも、部屋の中まで運ぶということで別料金を払っているのに、玄関に置いてとっとと帰っていったという……。教え子に電話をして、運送会社にクレームを入れてもらった。どっと疲れがでる。今日、前回も来ていた副マネージャー(?)が謝りながら、今回の荷物は月曜から水曜の間には必ず運ぶと言っていたが、あまり信用はできない。チラシや事前の説明で、長春―北京間を2~3日で運ぶとのことだったので、11日に荷物を送り、14日に北京入り、15日に荷物を確認してから帰国、というスケジュールを組み、チケットも手配したのだが、荷物確認は無理な危険性が高くなってきた。困ったものだ。

ということで、面倒なことがあってあまりすっきりしないけれど、とりあえず荷物を全て梱包して送るという作業は終わった。ものがほとんどない部屋(家具は備え付け)というのは気持ちがいい。こういう生活を送りたいと思ったりもする。大量の本を日本から持ち込んでいるような人間には絶対無理な話だけれど。

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北京への引越し第一弾

今学期で長春を去り、来学期は北京の大学で教えることになった。そろそろ今学期も終わり。引越し時期がやってきた。

今住んでいる部屋は、ぼくの勤務先の宿舎と妻の勤務先のと二つあるので、二回に分けて引っ越すことにした。二回に分けての引越し、本日はその第一弾、ぼくの勤務先農大の宿舎の荷物を送る日である。 以前の教え子二人に来てもらい、色々手伝ってもらった。 彼らも今学期卒業で、1日に卒業式があったばかり。同級生はほとんどふるさとに帰ったか、次の勤務先に向かった。かれらはちょっと所用があり、長春に残っているのだが、快く手伝ってくれた。

今日送ったダンボール箱31個。二つの箱をヒモで縛って一個にしたものを四組作ったので、27個口のダンボール箱を北京まで送った。明後日に北京の送り先に届けられる予定という。 部屋からトラックまで運ぶのは運送屋のお兄さん達に頼んだので、ほとんど疲れず(昨日までの準備は大変だったが)。一時間ほどで終了。

Img_5901 まだ掃除は済んでいないし、何度かこの部屋に来なければいけないのだが、ちょっと回顧的な気分に浸る。この部屋には二年間住んでいたけれど、妻の勤務先の宿舎をメインにしていたので、別荘感覚(笑)だった。

今週の土曜には引越し第二段がある。こちらの荷造りは農大より大変。あまりのんびりしている暇はない……。

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中国の就職難

就職できない? だったら軍へ! 中国軍、今夏、大卒12万受け入れ
2009.6.23 10:22

 【北京=矢板明夫】金融危機の影響で中国の大学卒業生の就職難が深刻化するなか、軍が今夏、就職支援と称してこれまでで最大規模の12万人の大卒者を受け入れることを決定した。軍機関紙「解放軍報」などが伝えた。

 中国メディアによると、今夏には約610万人の大学生が卒業するが、その3分の1にあたる約200万人が就職できない可能性もある。このほか、職を探し続けている既卒者も数十万人いるといわれる。

 こうした状況を受け、軍は今年、大卒者の入隊の定員枠を拡大するとともに、年齢制限も23歳から24歳に引き上げることを決めた。入隊時には、1人につき2万4000元(約34万円)の補助金も支給するという。

 軍が今回、大卒者を積極的に受け入れようとしているのは、社会不安の要素となる可能性が高い大卒失業者を減らすとともに、就職難を機に優秀な人材を獲得する狙いがありそうだ。

 これまで軍は高卒者を一般兵士、大卒者を主に幹部候補生として採用してきたが、今年からは大卒者を一般兵士として多く採用する。その代わり、優秀な人材が早く昇進できるように人事制度を改革し、大学院で勉強する機会も増やすなどさまざまな措置が講じられるとされる。

MSN産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/world/china/090623/chn0906231023000-n1.htm

中国は卒業シーズンを迎え、大学のキャンパスではアカデミックドレス(こちらでは学士服と呼ぶ)を着て記念写真を撮っている学生達をよく見る。中国の学生は(すくなくともぼくの知っている範囲では)、こういうコスプレが大好きである。

楽しそうで、和やかな光景であるが、卒業生たちの進路はとても厳しいようだ。上記の記事では「今夏には約610万人の大学生が卒業するが、その3分の1にあたる約200万人が就職できない可能性もある」とあるが、ぼくの聞いている話を総合すると、状況はもっと悪い。そもそも昨年まででも、大学生の就職率は6割程度ということで、その中で日本語を専攻している学生の就職率は比較的高いという話だった。大学によるのだろうが、以前ぼくが教えていた某師範大学では8割から9割がどこかには就職できていたと記憶する。これはかなり特殊な例で、同じ大学でも英語専攻などは6割ぐらいだと学生から聞いていた。毎年二桁の経済成長を成し遂げているといっているのに、就職率がそんなに低いのはどうしてなのだろうと思っていた。(進学率の急速な上昇、それに伴う学生の質の低下など、分かりやすい要因はいくつかあるが、それにしても経済成長期には人材が求められるのではないかという疑問は消えない)

しかし、昨年までの就職状況は今年に比べればずっとよく、今年は本当に厳しい。某師範大は中国の重点大学で、日本語学科のレベルはかなり高いが、今年の卒業生は半数近くが就職が決まっていないか、悪い状況を避けて留学を決めたり志望したりしているらしい。これは別の大学の話だが、就職率に留学・進学する人数を入れて統計を取っているそうだ。実際には一握りしか就職先が決まっていないという。

また、内定取り消しの話もよく聞く。いきなり切られたという例もあるし、最初の条件と違って、実習に行ったらその参加者から絞り込むと言われたという例もある。ぼくの知っている学生は3ヶ月ほどの実習期間中、ほぼ毎日テストがあって、どんどんふるいにかけられたという経験を話してくれた。

それなりに優秀な学生でも就職が決まっていない者がたくさんいるのだから、そうではない学生は言わずもがなである。ぼくの知っている例はほんとうに少なく、限られた例でしかないので、データは十分ではないけれども、実感としては3分の2が無事就職できるとは思えない。ひとりでも多くの学生の進路が決まってくれればいいのだが。

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長春-大阪便就航

吉林大学に留学している方のブログから。

「中国南方航空が長春-大阪便就航」というニュースが…… 7月2日より就航、6月10日頃から予約が可能になる予定で、毎週火・木・金・日曜日の週4便で、長春からの便が7:40発12:30着、大阪からの便が13:30発18:15着とのこと。

長春に移り住んではや3年弱。そのうち長春-大阪間の便も就航するだろうとは思っていたけれど、週4便とは驚き。ただ、あとしばらくで長春から引っ越すことになったので、遅かったとの感が強い。もっと早く就航してほしかったなあ。

追記(7月5日)

同じ方のブログによると、直行便ではなく大連経由便とのこと。ぬか喜びだったというか、遅かりしとの気持ちが薄らいだというか。

そんでフライト時間が5時間前後となると、ひょっとして直行便ではなく経由便では?と思って検索をかけてみると…… 予測は当たってました。下のサイトによると行き帰りとも大連経由です。

参考:中国南方航空 「大阪-長春線 新規就航のお知らせ」

何かこれを見ると既存の大阪-大連便の行き先に長春を加えたというだけという感じですね。トホホ……

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